前身の【自動演出操作卓FMD-502】は生産開始から10年が経過。依然その操作性の高さから全国の式場の支持を集めていましたが、演出環境の変化や使用部品の生産中止などの条件が重なり、生産継続が難しくなっていました。そこで、より使いやすくパワフルにバージョンアップしたFMD-503が誕生しました。

今後10年の生産が可能な新部品の選定や内蔵プログラム新機能追加など、ハード、ソフト両面での全面改良となり、実質的には新規開発同様の苦労がありました。当社の顔となる商品のため、デザインや機能、操作性については妥協せず広くベテランから若手まで全社員から意見を求めたため、その集約にも時間がかかりました。最後まで結論の出ない項目は、開発担当である僕の責任で決定の判断を下しました。高い演出性においては一切妥協せずに操作性を追求した本製品は、最もファンテックスらしさが感じられる製品だと思います。

AmazingMax®で使用するスクリーンは横幅10メートルを超えるため、駆動装置も大がかりとなってしまい、既存の建物では設置工事できない例がありました。この問題を解決するために、できるだけ少ない設置スペース、軽量で扱いやすいスクリーンを作ろうと独自の発想で開発しました。

軽量なスクリーンパイプの製作で行き詰っていたとき、社長から「カーボンパイプはどうだ」と提案があり、試作品を作ってみました。でき上がったパイプを連結して、社長と二人で持ち上げて強度を確認するまではドキドキでした。軽量化するためにパイプの肉厚を極限まで薄くしたため、計算値強度でできているか心配だったからです。駆動装置も既知の装置とは全く勝手が違うため、従来手法では上手くいきません。そこでこれまでの常識は思い切って捨て、思いついたことは何でも試して開発していきました。最終的には駆動装置を二分割してスクリーンの両端で直接駆動させることにしたので、２台の駆動装置の同期運転が大丈夫かな？と試すまではヒヤヒヤしていましたが、意外とすんなり同期運転できて苦労はなかったです（笑）。

ホリゾントライトとは祭壇演出には欠かせない、祭壇背面を照らす演出用照明器具です。これまではどうしても発熱を抑えられず、消費電力、カラーフィルターの色焼けや、灯体の寿命の短さなど、高い演出力の反面、解決すべき問題も多い製品でした。ご利用いただくお客様のニーズとしても、省エネ・長寿命の実現というのはとても高かったため、消費電力が少なく、発熱の少ないLEDを使用した製品の開発に取り組みました。

LEDを使用した照明器具の開発が初めてであったため、何もかもがトライ＆エラーの連続。特に照明光の拡散ムラや、照度不足の解消に四苦八苦（笑）しました。正直、ふつうの企業であれば開発中断もありえる状態でしたが、私たちは粘りに粘り製品化にこぎつけました。使ってくださるお客様のことを思い浮かべながら、みんなで試行錯誤したことは良い思い出です。